November 08, 2009

萬年筆研究会【WAGNER】 裏定例会 in 愛宕山

昨日は萬年筆研究会【WAGNER】 裏定例会。朝、野暮用を済ませて、午後からの参加となった。東京に長く住んでいても、行ったことのない場所、滅多に行かない場所は多くある。今回裏定例会が開かれた愛宕山界隈もその一つ。昔、一度だけあの界隈を通り過ぎたことがあるような気がするが、そのときには、高層ビルは一つもなかった。僕の記憶が間違っているのかと思っていたところ、あのビル群は、バブルの時期以降に建てられたとのこと。道理で、街の様相が違っていたわけだ。

僕にとっては、初めての会場での裏定例会。扉の向こうからは何時もながらの賑やかな声が聞こえてくる。1時30分頃に到着したと思うのだが、ペンクリなども大盛況。僕が本日持って行ったのは、昨日も紹介したヴィスコンティーのヴァン・ゴッホ。昨日のコメントで、インクのせいで渋いのではないかとのご意見もいただいたが、そのことを含めて、確認させていただこうと思った。

早速到着後に、ペンクリ申込用紙に記入。インクフローを太字らしくすることと、書き味の改善というリクエストを付した。takechanfavorさんやaurora_88さん、mochidukiさんなどと歓談をしながら待っていると、師匠が僕の申込用紙を御覧になり、これはらすとるむさんへとのことであった。

らすとるむさんは、一心不乱にマジェスティーさんの万年筆を調整されておられたが、そこへ割り込ませていただくような、申し訳のない形となった。早速御覧いただくと、ニブが詰まっているのとともに、ペン芯に問題があるようだ。毛細管現象によるインクの吸い上げ力がきわめて弱い。これは、ペン芯の構造上の問題によるのかもしれないとのこと。書いている途中にインクが切れてしまう。

そこで、空気の通る溝をまず綺麗にしたが、それでも改善はされなかった。次にペン芯にカッターの刃を入れ、空気溝を深く掘り下げることに。ペン芯の改良を見つめる一方で、机に並べられた、いわゆるドボドボイジャーのキャップレスを書かせていただいたり、改造大魔王の名を体現したようなファルコンのクーゲルなどという恐ろしげなものも書かせていただいた。以前「中華万」の回で紹介させていただいたデューク万年筆そのものには出会わなかったが、モンブラン・メディチを超えると言わしめた「中華万」も書かせていただいた。

らすとるむさんにより、ペン芯自体はずいぶん改善されたのであるが、元々の設計に問題があるのか、この個体の問題であるのか、どうにも毛細管現象によるインクの吸い上げ力がついてこない。「ドボドボドイジャー」を書かせていただいた後に、改めてこのヴァン・ゴッホに触れると、インクのフローの良いときは、それなりに満足の書き味なのであるが、インク切れの恐れを持ちながら書かなければならないのには、不安が残った。手紙一本を書く程度であれば問題がないのであろうと思うので、用途限定で用いたいと思う。らすとるむさん、ヴィンゴッホを蘇生いただき、有難うございました。

今回の話題は、先週師匠がブログで紹介された(「万年筆評価の部屋」2009年11月3日)アメ横で現在売られているシェーファー・タルガとクレスト。パコさんが昨朝に入手され、早速会場で調整をされておられた。タルガのEFは、シェーファーのテーストを残しながら、パコさんの調整の特徴がわかるもの。クレストの方は、パコさんはご不満であったのであろうが、これもパコさんらしく調整されたものとなっていた。裏定例会会場からアメ横に直行された会員もおられたとの由。アメ横もWAGNER会員で賑わっていたのではないだろうか。

また、師匠には、フェンテの会で「幸運」にも売れ残った、ヴィスコンティーの正体不明モデルを書かせていただいた。(「万年筆評価の部屋」2009年10月31日)このインクフローが何ともいえず、ペンの自重だけで、筆圧ゼロで書ける感覚、間脳がしびれた感じ。また、パイロット色雫インクの「紺碧」も軸色とマッチして、何とも美しかった。

本日は、5時までには職場に戻らなければならなかったため、4時過ぎに会場を後にした。皆さんには「では来週は神戸で」というご挨拶をした。そう、来週は待ちに待ったWAGNER関西地区大会が、神戸元町で開かれる。当方いろいろと身辺気ぜわしいのであるが、今回は事情で前・後泊。会場には朝からまいる予定です。



bromfield at 00:00|PermalinkComments(2)この記事をクリップ!WAGNER 万年筆研究会 | Visconti

November 07, 2009

デュポン、オランピオ & ヴィスコンティー、ヴァン・ゴッホ(トータス)のその後

先週末にインクを入れた万年筆2本。想像していた以上に出番が多い。そこで、詳細なインプレまではいかないまでも、一週間利用してみたところの感想を記したい。

先ずはデュポン・オランピオの方であるが、当初は本物かどうかで気を揉んだものの、最近はどうでも良いことのように思えてきた。それは、書き味が段々気に入ってきたのだ。最初はインクフローが渋く、これは本当に僕が使いたくなるような万年筆に変貌してくれるのか心配であった。

ところが使っていくうちに、インクとペン芯の相性が合っていたのか、インクフローが適度な量となり、それにつれてこちらも筆圧を下げて書けるようになって、快適になってきた。セーラーのペンクリで川口ドクターがよくされるように、ペンの自重だけで紙の上を走らせてもインクが出てくるのだ。

もともと、銀軸で重いものであったので、最近筆圧が以前より下がってきたことと相俟って、楽に書けるであろうという予想のもとにこの万年筆を入手したのであるが、この目論見は半分は正しかった。

残りの半分はといえば、キャップが想像以上に重い一方で、軸が想像以上に軽い。つまりバランスが悪く、持っている手が天秤の支点の役割をしてしまい、比較的後ろの方を持つ僕の持つ位置でも、ペンの重さがペン先にあまりかかっていかないのである。ペン先が小粒であることを考えると、キャップを挿さずに書くことを前提としているのかと思える。もう少し軸を重くするか、キャップを軽くするかしてバランスを調整してくれていればと思うのである。

タダ、先日うかがったつきみそうさんの奥の手を、今度試したいと思う。ひょっとして特許に登録されるのではと思われるアイデアなので、ご本人が紹介されるか、あるいはWAGNER関西大会で許可をいただいた上で公開したい。

次のヴィスコンティーであるが、これには難儀している。クリップのぐらつきなど、作りが雑なのは以前所有していたスティピュラの万年筆と双璧。インクがダダ漏れをするようなものでないので、そこは値段相応と思えばよい。ただ、インクフローが渋い。これは、モンブラン・インクのボルドーを使っているからかも知れないが、太字であるにもかかわらず、線の太さは、ヴァン・ゴッホのマキシFよりも細いのではないかと思われる。

ルーペでよく見ると、ペン先に切り割りがぴったりくっついていて、詰まっている。ペンポイントは、ウォーターマンほどでは無いにしろ、6・4分けくらいの感じ。そして何よりも、僕の筆記角度では、紙との接地面が少ないようなペン先になっているようだ。

ただバランスに関しては、非常によい。軽い万年筆ながら、ペン先にしっかりと重みがかかっていく感じがする。この感覚が手にあったせいか、この万年筆のインクフローのことは捨象して、手紙を書こうと思い、意気込んでいたのであるが、インクフローの悪さにイライラし、途中で放棄。結局、その手紙は、ヴァン・ゴッホのマキシで認めた。このままであったら、何時になったら、手紙を書くために使えるようになるのかは、不明である。やはり、これはWAGNERのペンクリで、お願いするしかなさそうである。

本日の裏定例会には、午前中の仕事を終えてからの参加。調整いただけるかどうかは微妙なところであるが、とにかくこちらは、持参しようと思っている。


bromfield at 00:00|PermalinkComments(2)この記事をクリップ!インプレ | S.T. Dupont

November 06, 2009

「原稿用紙、必要ですか?」

最近、依頼されて文章を書く仕事が、少しずつ増えてきたような感じがする。当方、人気作家でもなく、依頼されるだけでも有り難いことである。そんな感謝の気持ちに浸っているとき、今と昔の違いを思い起こさせる、ちょっとした出来事があった。

昔は、原稿の依頼が来るときには、まず葉書か書簡で、その仕事を受けるかどうか問い合わせがあった。そして、気の利いた出版社であると、往復葉書か同封した葉書で返答をする。今ではほとんどの場合、メールか電話になった。経費節減と、時間短縮という意味もあるのであろう。

今回の場合、丁寧にもお手紙を頂戴した。返事はメールか葉書でということであったのだが、当方は念のため、両方の方法で承諾のお返事。まだ締め切りが先の原稿であるが、最近また先方から、封書にて執筆の際のスタイルに関するマニュアルが送られてきた。そして、最後にワープロ原稿の様式の説明とともに、原稿用紙で書く場合、先方から原稿用紙を送付する旨が記されていた。

そういえば、今から20年以上前、初めて依頼原稿を書いたときには、執筆マニュアルとともに原稿用紙の束が送られてきたことを思い出した。そのときは、もったいなくて使えず、市販の原稿用紙に書いて編集者に、直に届けたのを覚えている。(その原稿用紙は記念の品として、いまだに家のどこかにあるはずだ。)そして、そのとき用いた筆記具は、ボールペンなどではなく、以前師匠に調整、修理をしていただいた、当時の僕の所有していた最高級の筆記具、モンブラン320EFであった。(本ブログ2009年3月18日)

僕の恩師などは、各出版社の原稿用紙を比べながら、xx出版の原稿用紙は紙質が悪いとか、oo書店の原稿用紙は書きやすいので、余分にもらって自家用に使っているなどと話しておられた。そういえば、恩師からいただいた手紙もoo書店の原稿用紙に認めてあった。

今回、若干の段取りは違ったものの、久々に昔ながらの出版プロセスを体験している。もうすぐ手もとには、おそらく出版社か、冊子の名前の入った原稿用紙が届くのではないだろうか。どのような紙の、どのようなマス目で罫線の色、太さはどのようなものだろうか、などと考えると楽しみだ。そして、どの万年筆を使うか、どのインクがあうのかなどと、執筆の苦しみの前に、一時の楽しみを得ている。

しかし、よく考えてみると、出版社もこれだけワープロで文章を書く人が増えてきた以上、大量に原稿用紙の在庫を抱えているのだろうな、などと想像している。今後は、新たに作って執筆者に配ることがなくなるのではないか、と心配している。出版社がそれぞれに趣向を凝らした原稿用紙そのものにも、文化的価値があるように思うのだ。

ただ昔の出版社は締め切りには寛容であったが、現在はどの出版社も厳しそう。この一点、このような昔流のプロセスを取りつつも、大きく変わったところである。





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November 05, 2009

ペリカン M625 赤 Fニブ

最近ふと気づいてみると、細字万年筆を用いる機会が増えてきたように思う。これは、「大吟醸山田錦」ニブを持つ万年筆を入手以来、細字万年筆に対する壁が大きく崩れたこと。そして、おそらくこのことが影響して、ボールペンで書いていたものにも、多様な細字万年筆を用いるようになった。

R1088558先週は、9割以上本物と思われるデュポン・オランピオのFニブ付きを、そして今週は、ペリカンM625のFニブ付きを入手した。この万年筆、以前カミさんの就職祝いにと思って候補に上った万年筆。そのときは、Mニブ付きであったため見送った経緯がある。また軸の色も茄子色の青紫であった。(本ブログ2009年2月26日)ところが、今回赤軸で細字が出ていた。価格も、円高の進行と、なぜか人気がなかったせいもあり、当時より2割近く安く落札が出来た。

最近デュポンの持ち歩きセットが細字と中字と揃い、カランダッシュのボールペンは二本差しのPeek-A-Booから追い出された。しかし、バックアップに想定していた2本は、ヴィスコンティーが持ち歩きに不適とわかり、またパーカーは中字と太字のコンビで、ボールペンの代替となる細字がない。どうしてもボールペンのかわりに、「おしゃれ」な細字がもう一本欲しかった。そんなときeBayで出会ってしまったのが、以前から良いなと思っていたペリカンM625であった。とりあえずの額を入れておいたところ、あれよあれよという間に、気がついたら落札の連絡が届いていた。

R1088560この万年筆、例によってドイツから簡易ケースに入れて送られてきたが、クリップの札を見る限り、工場から出荷されたニブがそのままつけられら状態であるように思える。どのインクを入れようか迷っているため、まだインプレを書く余裕はないのであるが、ルーペで見る限りは良さそうである。

軸の色は、日本の店頭で見たときはもっと明るい赤だったように思うのだが、届いた現物を見ると「酒紅」色。ただ、ワインのボルドー色というより、この軸の質感も相まって、僕は採血の注射器に抜き取られていく、血の色を思い出してしまった。あるいは、新鮮なクロマグロの赤身といっても良いかもしれない。

いずれにせよ、これに入れるインクは、黒では少し暗すぎる気がする。さりとて、モンブランの「紅酒」色は、持ち歩き用の汎用性に欠けるとともに、注射器から血が漏れ出したように僕は想像してしまい、ハロウィーンが過ぎてしまった今では、気持ち悪さだけが残ってしまう。やはりここは定番のペリカンのロイヤルブルーかと思うのだが、まだ決心できていない。

銀軸を追いかけてきたのだが、今回は銀と赤の透明軸との組み合わせ。パーカーのネイビーブルー・ストライプ、Mニブ付のデュオフォールドとお似合いのカップル。デュポンのバックアップは、このカップルとなりそうである。

R1088559ところで、師匠はこの万年筆のBBニブ付きを、お求めになったのだろうか。2007年の末に翌年購入する候補の5番目に挙げておられたが(2007年12月27日)、しかしその一年後のブログでは、リストアップされていた万年筆は一本も購入されていないと読めるエントリーがある(2008年12月25日)。ただ、2007年のエントリーで購入の際に注意する点として、キャップを後ろに挿したときにぐらつかないか否かという御指摘があった。これは個体差かもしれないが、当方のM625は幸運にもぐらつきがない。このことで、パーカーとペリカンの風変わりなカップルの前途を祝福するのに、迷いがなくなった。

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November 04, 2009

ペリカン 限定品 「ハリウッド」から「銀幕」へ

昨日は文化の日。別にムスメの誕生日というわけではないのだが、近所の幼稚園の同級生に、アフタースクールでの「マブダチ」を招いて、バーベキューパーティーと相成った。当方は専ら焼きの担当。火が通ったのか味見する程度の食事で、あとは流動食。今回は俗にリキッド・ブレッドといわれる液体にしたパンをいただいた。

さて、誕生日といえば、1948年まで、この日は明治節。明治時代は、天皇誕生日として休日であった。公式の説明では、現在の憲法が公布された日を記念して「文化の日」が制定されたと説明されている。が、先日若い物知りの人と話している時、「何で11月3日は祝日か知っているか」と聞いたところ、「明治天皇の誕生日だから」と答えた。一般的に、人々に記憶として残っているのは、明治節の方なのであろう。憲法には憲法記念日があるから、人々の記憶が薄らいでいるのかも知れない。

ところで、昭和天皇、今上天皇の誕生日は祝日となっているが、大正天皇の誕生日は、現在は祝日とはなっていない。大正天皇の誕生日は8月31日。ところが、儀典を挙行することを考え、暑さを避けるため、大正3年には10月31日に祝日が移動されている。もし、大正天皇の誕生日が大正時代から継承されて祝日とされているならば、この時期も大型連休となる可能性があった。

しかし、誕生日であるべき祝日を、都合によって移動するというのは、興味深い。頑なに形式を重んじるのではなく実利を優先した対応を、この時代は許容したのであろう。ひょっとすると、この類のことに関しては、今の方が不自由な、非寛容な時代かも知れない。

3941633640_98615034c3_o変更といえば、11月に発売されることとなったペリカンの限定品、以前このブログで紹介した時はハリウッドという名前であった。(本ブログ2009年4月10日)昨日の師匠のブログでも取り上げられていた。ところが、最近のペリカンの広告では「銀幕」(Silver Screen)に変更されている。これはどういうことなのだろうか。

僕の想像では、地名を付けると、M620の世界の都市のシリーズと混同が生じるから変更したのではないかと思っている。この万年筆、M1000と同じサイズであり、胴軸にはフィルムを模した枠組みの中に、本物のルビーが埋め込んだ4つの星を配している。これは銀幕のスターという意味であろう。ハリウッドのチャイニーズシアター前の「スター」の刻印の入ったタイルを想起させる。

値段は以前の告知されていたよりも少し上がり、税込みで2200ポンド。日本では25万円。限定420本で、ニブは以前アナウンスされたとおりMニブのみとなっている。

しかし、この広告の写真、「銀幕」だけにシリアルナンバーが007のものを用いているあたり、ペリカンの心憎い演出を感じる。不幸にも僕のWAGNERの会員番号が入ったものは入手できないため、今回は諦めるしかない。銀幕の世界は空想の世界、遠くから眺めておくだけにしておきたい。

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