November 12, 2009

万年筆の書き味向上 僕には目から鱗のハナシ

先日のWAGNER裏定例会において、ヴィスコンティーのヴァンゴッホのペン芯をらすとるむさんに改良していただいている時、話題となったのが、書き味改善とインクフローのことだった。そばにおられたパコさんも話に参加され、WAGNER公認調整師の方々から、興味深いお話を聞くことが出来た。

僕のように何本も調整をしていただいていると、そのうち自分でもという危険な考えが頭を過ぎってくる。そのため、一応道具としては、ノックアウトブロック、カニ目(ピストンを外す)、ニブ叩き出し棒、そして隙間ゲージなどを着々と揃えてはきた。まだ耐水ペーパー、ラッピングフィルムの購入などに踏み切れないのは、包丁さえうまく研げない僕が、ペン先をうまく紀要に遂げるはずもないと思えるからだ。

ただ、段差調整、隙間ゲージを用いて切り割りを広げてインクフローをよくすることなどは僕でも出来るのか、と思っていたら、これが大きな間違いであった。らすとるむさんやパコさんによると、切り割りを開くことによりインクフローを増すという考え方は、熟練の師の考えることで、もし僕みたいな素人が安易にすると、ペン先の内側の角が引っかかるペン先になる。そしてそれを回避しようと内側を削ると馬尻となり、インク切れの原因となる。(ちなみに昨日の師匠はブログでは、スリットは開いたあと多少絞るとお書きになっていた。この微妙な塩梅が何度拝見してもマイスターにしかできない技に見える。)

書き味調整、インクフロー調整の基本は、ペン芯の性能を最大限に引き出せる調整をし、インクフローを増すことであるとのことである。そこから、シェーファーのコノソアールや、ノン・ナンセンスのニブが如何に優れているかとの説明をしていただいた。

その意味で、ヴァンゴッホは、ニブの性能が構造的欠陥を持っているとするならば、調整師の方に出来ることは限られてくるということなのだ。浸けペンとして用いるならば、最高の書き味を提供してくれるであろう。しかし、毛細管現象でインクを吸い上げる力が少ないペン芯は如何ともしようがない。

一方で、インクフローをインクによって調整することも出来る。パコさん最近お勧めのインクフローの良いインクとして、セーラー・ジェントルマンインクの黒を挙げておられた。ペリカンの黒も裏抜けしないインクとして良いとされていた。

調整の際にパコさんが用いられているのはウォーターマンの黒。僕はこの黒の色が気に入って、使っているのであるが、パコさんによると、自分ではあまり使わず、減らないので調整用に使っておられるとのこと。インクフローは並とのこと。つまり、調整の具合が、インクフローに左右されることなくよくわかるということである。

さて、僕は、常用インクとしてモンブラン、ペリカンのロイヤル・ブルー、ウォーターマンのブルーブラック、これに加えて、最近モンブランやウォーターマンの黒を用いている。そのなかで、驚いたのがペリカンのロイヤル・ブルーはインクフローが渋いとのことである。よく考えたら、僕の常用ペリカン万年筆は、師匠を始め、ほとんどがWAGNERの調整師にお世話になったもの。当然インクフローも最高の状態に調整をいただいている。それ故に、ペリカンのロイヤル・ブルーには全くストレスを感じたことはない。

また、僕にはあまり関係のないことであったが、インクフローが良すぎて絞りたい場合、物理的には、師匠がブログで書いておられたように、マニキュア液をペン芯に塗るという方法もあるが、インクとしてモンブランやペリカンのブルーブラックを用いるとお話しもあった。

ブルーブラックは怖いインクとのイメージがあるが、WAGNER定例会講師のNさんに以前お伺いしたところ、使い続けるならば(入れたまま放置しないならば)、基本的にはどの万年筆用インクを入れても大丈夫というお話しをいただいたことがある。もし必要であるならば、これら、ブルーブラックをコンバーターが使える万年筆で利用してみたい。特に極細字は、ますます字が細くなるのであろう。





bromfield at 00:00│Comments(4)この記事をクリップ!WAGNER 万年筆研究会 | インク

この記事へのコメント

4. Posted by Bromfield   November 13, 2009 02:47
su_91さま

昔の調整師の方が調整した万年筆は、ペン先は左右離れず、くっついた状態であったと聞いたことがあります。調整師それぞれのスタイルがあることが、様々の方に調整をお願いし、解ってきました。
3. Posted by Bromfield   November 13, 2009 02:43
monolith6 さま

今までペリカンのロイヤル・ブルーは、「安全」で安定したインクとの評判であったと思います。それ故、私は常用してまいりました。

インクフローの点は、調整師の方達は、常識のように話されておられましたが、私には目から鱗が取れるような話でした。一部の方達には、語るべくもない常識なのかも知れません。
2. Posted by su_91   November 12, 2009 16:42
ペン先の切割を開いた結果内側が引っかかると言うのは、文章を読んではじめてなるほどと思いました。
最近、下手な自己調整でそのようになったペンが数本ありますゆえ。
先日のフェンテで師匠に内側のバリ落としの仕方を教授していただいたのですが、確かに加減が難しいです。
1. Posted by monolith6   November 12, 2009 10:42
 今まで誰もこのことを書かず、気にもしていないようでしたが、私も大分以前からペリカン・ロイヤル・ブルーのフローが非常に渋いことを実感していた一人です。

 基本的にブルー・インクはどのメーカーのものであれ、その会社の生産する他の色インクに比べてフローが良い筈なのですが、ペリカンは例外。むしろ同社のブルー・ブラックの方がましなくらいです。

 私は一時期、調整を終えた万年筆のフローを確認する目的でこのインクを使っておりましたが、どんな万年筆に入れようとも(例えペリカンの万年筆だろうと)フローが良くなるものは一つもなかったため、このインクを捨てました。今は飾り物だけを持っております。

 ま、サイテーなインクですね。

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